今回の滞在地はインド。
数えきれないほどの魅力の詰まったこのインドにおいて、私たちは「NADA YOGA/音ヨガ スタディツアー」としてバラナシにある北インド古典専門学Shilpayan Music Hub. を訪問させて頂きました。
学び、体験し、感じ、時には演奏し、数々の経験を頂きました。
この記事では、音楽や文化交流の様子、そして、感じたことなど書いてみたいと思います。
【 日の出の刻に、日の出のラーガを、ガンガーの上で 】
数多くあるラーガにうち多くのものが、「音階のような旋律思想、演奏するべき時間帯、季節、表現テーマ」などが指定されています。
それでいて、演奏自体は、その奏者さんの心のままに、即興として、明け渡されています。
日の出の刻に奏でられるRaga Bhairagi Bhairav は、早朝のラーガの中でも、非常に神聖さがあり、古くから今もなお、この響きでVEDA詠唱やMantra Chantingを行なっています。
このラーガBhairagiを、Shilpayan校長であり、ボーカルアーティストであるDevashish師匠はじめ、Dr.Ragini先生、Harshitさん(Halmonium)、Gauravさん(Tabla)、先生の奥様、生徒さん、そして、私たちNADA YOGA JAPANの仲間で、先生から学び、日の出とともに、一緒に歌う! しかもガンガーの上で!! という奇跡が幾つも重なったかのような素晴らしい機会を得ました。
主催者としては、「Bhairagiのいい〜所で日の出がでたらなあ。」
なんて想いもあって、船への乗り込みから、WS開始まで、素早くしたい。。といった、、ちっぽけな心はよそに、、
デバシシ先生達は、ゆっくり乗り込むと、
「まあ、まあ、とりあえずChaiだ。」
と、持参のChaiを展開。
美味しく頂きましたが、日の出も気になる。笑
でも大丈夫だった。
空色は変わりゆく。
先生の美しい祈りのマントラが始まると、全てのざわめきは消えて、ガンガーと太陽神Suryaを待つ、静かな祈りの宇宙へ。
心は静か。
水面も静か。
沐浴する人。
うっすらと聴こえるVeda詠唱の響き。
漕ぐ音。
先生達の声と僕たちの声が、Bhairagiに沿って旅をする。
タブラの遅い遅い12拍子は、時間の感覚を全てもっていってしまった。
深いガンガー宇宙の底へ。
ラーガがその姿をあらわす頃、Surya神は、先生の背後から静かにあらわれた。
光とともに、グルとともに。
輝くガンガーと空は、ラーガのあらゆる可能性を秘めてうつりゆく。
ラーガの力、グルの力、私たちの力、ガンガーの力、祈りの力、太陽の力、宇宙の力。
全てが音の軌跡、一点に集約されたような完全な瞬間、体験だったと思います。
言葉や学問、宗教観や個別性さえも超えた。そんな貴重な体験でした。
先生方には、朝早くからこんなギフトを頂いて感謝してもしきれません。
Thank you very much to Guru ji .Pranam.
そして、このツアー中ずっと通訳をしてくださった香さんにも心から感謝です!
ボートでのWSの他にも、校内でのクラスを含めると計3回のラーガクラスを行って頂きました。
普段は、「ラーガを学ぶWS」や「NADA YOGA指導者コース」はZOOMオンラインによるクラスなので、今回、仲間達とともに直接、先生方から学べることは、とても貴重でした。
皆さん、今回の本場インドでのラーガクラスを心から楽しんでいるようでした。
更に全員が、グループクラスのほかに、プライベートクラスも受けて、それぞれの意欲の高さも感じた旅でした。
学校では、子供達のクラス、男性青年グループ、女性グループ、ハルモニウムクラス、タブラクラス。など、ボーカルだけでも、幾つものレベル、グループカリキュラムになっていて、その真剣な学びの姿には感銘、そして、次世代、未来への安心をたくさん感じることができました。
そう、真剣に。
真剣に取り組まないと、それは実にならない。
力にならない。
そして、誠実で真剣、Satva、霊性なる意識の中で、グルと弟子たちの世界は真の愛と力を得ているように感じました。
その愛の中に、私たちもいます。
【 インドの皆さんにも喜んでもらえた音楽交流会! 】
「ガンジス奉納演奏」「ボートでの日の出ラーガクラス」の他に、主催者として超大変!プロジェクトがもう一つ。笑
こっちでイベント主催!!笑
しかも、「交流」がテーマなこともあり、日印ともに出演!
おかげさまで、超盛り沢山な内容になりました。
この辺りに雰囲気は写真を見て頂いたら、なんとなく出演者や雰囲気は伝わるかな?
幾つかのポイントだけ触れておくと、
-やっぱり本場の演奏はすごかった!-
インドの方々の演奏はKiz、Dr.Ragini先生、そして、Pt.Devashish Dey先生の3組の演奏を聴かせて頂きました。
Kizは小学生くらいの子供たち。でも、めちゃくちゃ上手!美しかった〜
Ragini先生は、Raga Madhvantiを。「蜜の花園」と呼ばれる甘く誘われるようなこのラーガの雰囲気そのままの美しいRagini先生の美声は、僕たちをラーガの深い世界に誘いました。
Devashish師匠は、Raga Jog。神がかってました〜。僕も以前、演奏したことがある先生作曲の11拍子の曲でした。
2演目目のBhairaviは、キールタンスタイルで、会場全体が、大声で熱狂的に一つになって盛り上がりました。
師匠の場を調和的に一つにしてしまう力は、いつも本当にすごいなあ。と感動しっぱなしでした。
-こちらの演奏を聴いて頂いた!-
LeLeさんからスタートだったが、「バーラーナシー」の連呼パターンで会場がLeLeさんワールドに!
AyuminはRaga Durgaで作ったオリジナルソングを。これはDurgaらしさが伝わったんじゃないかな〜
Hanaさんも、自分で作ったShantiMantraを披露。静かで情熱的な雰囲気がHanaさんに合いつつ、会場みんなのレスポンスコーラスとともに心地よく響きました。
Hirokoさんの演目では、日本の名曲「ふるさと」とマントラソング「Twameva 」を。 彼女の透明な声の響きと、Shilpayanにとっては新鮮なギター音が、軽やかな調和をうみました。
泉さんのバーンスリーの演奏は、現地の生徒さん全員が知っているRaga Saraswatiで先生の曲を。これは皆知っているだけあって、泉さんは笛を吹いているんだけれど、会場の皆が歌詞を歌ってくれて、こんな一体感もあるんだなあ。と尚、感激。
紗奈衣さんのギターとオリジナルラーガソングは、Raga Yaman / 愛はめぐりて と Raga Bhopali の自作曲。
グループ演奏はRaga Bhimpalasiの先生作曲の曲とtomomi* *さん作曲の「今ここに」。皆さん優しいからちょっとしたことでも、「素晴らしい!」と掛け声を頂いて、メンバーも楽しそうに歌えたと思います。たくさん練習しましたね!お疲れ様です!
どちらも、みんなから愛されている曲たちですが、インドのラーガ愛好家の皆さんに聴いてもらえてひとしお感動的でした。
僕からのスピーチ、メッセージでも伝えましたが、
「僕たち外国人でさえ、こんなにも情熱を持ちながらこのラーガの世界に熱狂しているです。正攻法で学び、時にラーガやマントラを扱いながら、創作も重ねて。
インド人の皆さんは、ご自身の文化/アートを、ネイティブである皆さんが習得されているという誇り高き事をされています。
持っている可能性を疑いの余地なく、楽しんで、高め、また世界中で表現してください。」
と、このような内容でしたが、紗奈衣さんや他の日本人の表現を見ることで、またネイティブの皆さんが感じてもらえることが、少なからず何かあったのでは無いかと思います。
ここの若い人たちの未来が楽しみです。もちろん、日本の仲間たちも。
- 交流会が盛況! -
「日本にちなんだクイズ」「お土産プレゼント」はさすがインド人の皆さん!かなり興奮気味に楽しんでくださいましたし、別機会で予定頂いた「インド料理教室」ではRagini先生とJayantikaさん、アルーさんなどが優しく楽しく、クッキングタイムをともにしへくださいました。
音楽交流会では、グルバイ(師匠兄弟)、グルバヒン(師匠姉妹)の絆を愛をもって感じることができました。
グルバイ同士で、先生や仲間の演奏を聴き、楽しみ、讃えあい、また、深め合う。
同じ師匠、流れにいる喜びを感じ合いながら、ここでは少し素直になれる自分もいた。
子供から大人まで。
みんながグルバイ、グルバヒンで、先生たちも、学び続ける人たちで。
全員が同じ方向を向き、サラスワティに祈りを捧げる。
ここは笑顔が多く、生徒さんたちは本当に幸せそう。
確かに感じ取れる、学びの愛の中で、僕たちは体験を通して、音楽家族の絆を感じ合いました。
【 体調は?食事は?? 】
ツアー開始前に前入りしていたメンバーが、体調崩しちゃいました。
まず、僕とHirokoさん自身が、晩ご飯後の食中毒。。。笑 他のメンバーも喉や発熱と、ツアー前、ツアー前半はちょこちょこと。
そんな時に、「病院へのサポート」と「毎晩の食事」を役立ってくれたのが、なんとメインで利用しているホテルのすぐ横のSonali & Yuyaファミリー。
Yuyaさんはインド人のSonaliさんと結婚されていて、偶然、バラナシへ帰省中だったのですが、本当に優しい夫婦、ご家族で、大人数の僕たちを毎晩、晩御飯に招待してくださいました。
予定していなかったにも関わらず、このように僕たちの1日の最後の集合場所となり、食事どころとなったSonaliハウスには、衛生的で、身体に安心、健康的な家庭料理をシェア頂きました。
おかげさまで、参加メンバーさんは、インドあるあるの腹痛を起こすことなく、本当に楽しい毎日を過ごすことができました。
Yuyaさんは、タブラ奏者でもあり、本業の農業をSonaliさんとともに、京都でされています。また、帰国後、会いに行きたいなあ。
Yuya&Sonoli、ご家族の皆さん、大変お世話になりました!
【 寺院参拝やボート 】
強力なパワースポットが幾つもあるバラナシ。
今回は、Tulsi Das Temple、Durga Temple、Sankat Mochan Temple、Jaganath Templeの4箇所を参拝、瞑想など。
個人的に心から愛する場所たちを、愛おしい仲間に紹介することができて、僕も幸せでした。
Tulsi Das Temple紹介動画
他にもバラナシといえば、Ghatと言われる王宮の名残が残るカッコいいガンガー沿いのウォーキングは瞑想的で、学びの連続でもありました。
火葬場では、大きな炎とともに死者を葬っていた。
ここに来る度に、私たちはどこから来て、どこへ向かうのだろうと、天に昇る魂とともに、想いを馳せる。
ボートでも歌い合い、眺める大きなAratiのエネルギーの大きさに、目に見えない大いなるものを感じた。
日の出の時間帯の中でも、細かく分かれる光のグラデーションは、まるで内なる世界を見ているようで、その度に、希望の力を得た。
どこにいても神々が迎え、手を合わせることになるこの地で、私たちは、それぞれの等身大で、目に見えるもの、見えないものを懸命に感じていた。
【 バラナシでのNADA YOGA 】
僕自身の話をさせて頂くと、以前は、北インド古典音楽ラーガの世界を先生に習うために、バラナシに毎年、滞在していました。
NADA YOGA指導者コース中にも話しましたが、僕は極端な人間で、ずいぶんの間、「音楽のみにエネルギー、時間を費やす」タイプの人でした。
そのおかげさまで、バランスを崩して、資本である身体や心を崩したのですが。。。
それで、今はこの大好きな音楽の本来の持っているYOGA的な力を改めて学び直し、YOGA全般に視野を向け直し、NADA YOGAとして取り組み直しています。
僕自身、そのようにして過ごした数年後。からのバラナシ滞在で大きく感動した事は、早朝の奉納演奏、Subah-e-Baranasの一連の流れがNADA YOGAとしてまんま象徴的だなと感じました。
VEDA詠唱や炎の儀式。
音楽奉納演奏。
YOGA 呼吸法 瞑想。
これらが毎朝、日の出とともに行われています。
ここに全てがあるといっていいほどに、大切な要素の詰まったSubah-e-Baranas。
先生達との早朝のボート上でのRaga Bhairagi体験もそうでしたが、ラーガの持つ「演奏するべき時間帯」など、正しい心技体で、呼び起こされたラーガは宇宙とともに一つになる神的体験そのもの。
ラーガを演奏することは、瞑想。繋がる為の音楽的手段。
それは個を超えて、宇宙的繋がりまで。
本場インドでこのような真の体験を出来たことは、奇跡的で感謝しかありません。
また、NADA YOGAをする人。NADA YOGIとして、ここにくると、圧倒的に多いHindu寺院やガンガー、人たちの暮らし、文化。など全てに意味がありYOGA的な気づき、学びがありました。
たくさんのMediaがNADA YOGAを学ぶ日本人グループの事を紹介してくださいました。
僕たちの音も、しっかりとインドが受け止めてくれた。
今は少しづつ日本でもNADA YOGA/音ヨガ という言葉や活動を見かけるようになりました。
本場インドで、こういった貴重な体験を頂いたNADA YOGI達も、帰国後、時間をかけてそれを消化し、また循環の輪に還ってゆくことだと思います。
参加いただいた仲間たちに心から感謝です。
みんな、逞しかったし、純粋で、インドと、インドの皆さんと心から喜び合いました。
お互い助け合った。
こんな聖地で、こんなドラマをともにできて、幸せです。
ShilpayanのDevashish師匠はじめ、一同の皆さまにも心から感謝です。全ての希望を叶えてくださったし、それ以上の体験があった。そのあたたかい愛や関係性は今も、はっきりと続いています。
Pranam.
Ganga Maiya ki Jai
次回のレポートでは、そんなNADA YOGAが世界最大級のInternational Yoga Festival2023 で、クラス担当させて頂いた様子をレポートしたいと思います。
Comments